前回は、キリストが教会の土台、また中心であることを御言葉から分かち合いました。今日は、キリストに属する私たちに与えられている賜物の意味、神の家を建てあげるために良き管理者となうように召されていることの意味をいっしょに学びたいと思います。
それぞれが賜物を受けているのですから、神のさまざまな恵みの良い管理者として、その賜物を用いて、互いに仕え合いなさい。
(ペテロの手紙第一4章10節)
Ⅰ.賜物・カリスマ
賜物と訳されているギリシャ語はカリスマです。カリスマと聞くと一般的には、カリスマ的な指導者とか、カリスマ美容師のように、神秘的な力で大衆を惹きつける人、際立って優れた能力を持っている人を表す形容しとして使います。しかし、聖書に語られているカリスマは神さまの恵みによって値なしに与えられた贈り物(ギフト)のことを表しています。(英語の聖書ではギフトと訳されています。)もともと何も持っていない私たちに神の家を築くための道具また材料として賜物を与えてくださっているのです。それをどう使うか、どう磨いていくかは私たちにかかっています。錆びつかせてしまったり、間違った使い方をしたり、無駄にしてしまってはいけません。神の与えてくださった賜物は、神の御心にそった形でしか使うことはできないからです。
Ⅱ.恵み・カリス
「神のさまざまな恵み」とありますが恵みと訳されているギリシャ語はカリスです。上で説明した「神からの贈り物」「神の賜物」を意味するカリスマは、「恵み」を意味するこの「カリス」から派生したことばです。「恵み」と「賜物」が切り離せない関係にあることが分かります。キリストのからだに属する一人ひとりに恵みによって賜物が与えられているのです。この賜物は、神の家を建てあげる道具また材料して設計されているので、キリストに属する者がお互いを建てあげるために使うことはできても、自分のためだけに使うことはできません。
Ⅲ.良い管理者
キリストを信じるものは皆、良い管理者となるように召されています。神から与えられた賜物を設計者の意図を読み取って上手に使うことができる人が良い管理者です。賜物は必ず、キリストに属する一人ひとりに与えられています。しかし、それを上手に使うことができるかどうかが問われているのです。良き管理者となるために必要な基本的な能力も、神は私たちに賜物として与えてくださいます。
1.信頼
第一の賜物は、設計者に対する信頼です。良い管理者は設計者である神が良き計画を持っておられること、そして自分を用いて良きものを作り上げようとしていることを知っています。またそのために必要なすべての材料と能力を与えてくださると信頼しています。その信頼もまた神からの賜物なのです。
2.ビジョン
二つ目の賜物はビジョンです。良い管理者は、建物が完成した姿を鮮やかに思い描くことができます。管理者は全てを理解しているわけではありませんが、神が与えた設計図に従って、与えられた材料を組み立てていくならば必ず良きものが完成すると信じています。まだ現実のものとなっていない物を目の前にあるように思い描くことができるのです。建設現場を見渡すと建物は骨組みしかなく、材料が積み重ねてあります。ゴミが出るでしょうし、騒音もするでしょう。しかし、良き管理者は指示に従って工事を進めていくならば必ずこの建物、神の家は完成すると知っているのです。
3.忍耐
三つ目の賜物は忍耐です。設計のスケールが大きければ大きいほど、工事の工程は長くなります。建物の完成までに時間がかかるのです。神はエクレシア(教会)という歴史の中でもっとも壮大な建物の設計図を描き、それを建てあげようとされています。神が建てあげるのであるならば、それは必ず完成します。キリストのからだである神の家はインスタントに建てあげることはできません。忍耐深い地道な作業が求められます。地域教会に属する私たちはその大計画の一部分を担っているのです。神はキリストに属する私たちをこの大建築工事に参加するように招いておられます。良い管理者は神の同労者でもあります。
キリストのからだである教会、エクレシアという神の家は未完成なのです。建築現場にはゴミがいっぱい散らかっているかもしれません。いっしょに掃除してください。建築資材が積み重ねてあるかもしれません。いっしょに組み立ててください。窓枠にはまだ窓がハマっていないかもしれません。いっしょに窓をはめてください。なぐさめも励ましも必要でしょう。それに気づいたのなら、慰める人、励ます人になってください。私たち一人ひとりが良き管理者になるのなら、建物の完成は早まるのです。あなたに与えられている良き賜物を用いて、仕える人となってください。